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家族信託は必要ない?不要なケースと後悔しないための判断基準

著者:家族信託相談ナビ 編集部
家族信託成年後見制度遺言相続対策判断基準

「司法書士事務所に相談したら家族信託を勧められたけれど、うちにも本当に必要なのだろうか」──家族信託の相談窓口や広告を目にするたびに、そう感じている方は少なくありません。

家族信託は万能の制度ではなく、財産の状況や家族構成によっては、遺言や成年後見制度で十分なケースもあります。逆に、「必要ない」と自己判断した結果、後から手続きの選択肢がなくなってしまうこともあります。

この記事では、家族信託が「必要ない」と言われる理由、不要なケースと向いているケースの見分け方、他制度との違いを、実際の相談事例とあわせて解説します。

家族信託が「必要ない」と言われる理由

家族信託を勧める専門家が多い一方で、「うちには必要ないのでは」と感じる方が一定数いるのには理由があります。

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「家族信託のメリットって何でしょうか?あちこちの司法書士事務所で家族信託が進められていますが、遺言書や成年後見で足りることばかりのような気がしています」 (出典:Yahoo!知恵袋 相談事例、2021年6月投稿/質問ページ

この投稿のように、「遺言書」や「成年後見制度」ですでにカバーできる目的であれば、あえて家族信託を選ぶ必要はありません。家族信託が力を発揮するのは、認知症になった後の財産の柔軟な管理や、二次相続以降の財産承継先を指定したいといった、遺言・成年後見だけでは対応しきれない場面です。逆に言えば、そうした目的がなければ、家族信託は今の状況には必要以上に大がかりな対策になりがちです。

山田くん山田くん

司法書士に相談したら、うちの場合も家族信託を勧められました。専門家が勧めるなら必要なんじゃないですか?

司法書士の先生司法書士の先生

専門家が勧めるからといって、必ずしもご自身の状況に最適とは限りません。家族信託は専門家への報酬が発生する分、事務所によっては積極的に勧める傾向があります。「なぜ遺言や成年後見では足りないのか」を具体的に説明してもらい、納得できなければ他の専門家の意見も聞いてみることをおすすめします。

家族信託が不要なケース・向いているケースの見分け方

家族信託の要否は、財産の状況と目的によって判断できます。

家族信託が不要なケースの目安 家族信託が向いているケースの目安
財産が預貯金中心で金額も少ない 収益不動産があり、認知症後も管理・売却の可能性がある
相続人が少なく、財産承継の希望もシンプル 二次相続以降の承継先まで指定したい(孫の代まで等)
認知症のリスクがまだ低い年齢・健康状態 すでに物忘れなどの兆候があり、対策を急ぐ必要がある
「とりあえず対策しておきたい」程度の動機 特定の相続人(障害のある子など)の生活を長期的に支えたい
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「85歳の父親は預金約2000万円と家(土地付も含む)を持っています。父親の収入は年金のみです。まだ、認知症にはなっていませんが、物忘れの症状が少しずつ進んでいて、近い将来、老人施設にお世話になると思います。『家族信託』より『任意後見人』それぞれにデメリットがあるようですが、このようなケースではどちらが良いのでしょうか?」 (出典:Yahoo!知恵袋 相談事例、2024年7月投稿/質問ページ

この相談への回答では、「両制度とも今の状況には大がかりすぎる対策であり、資金不足が見込まれる段階になってから検討すべき」という意見が示されています。財産規模や本人の状態によっては、今すぐ家族信託・成年後見のどちらかを急いで契約する必要はなく、状況の変化を見ながら判断するという選択肢もあることが分かります。

山田くん山田くん

「今は必要ない」と判断して、様子を見ていても大丈夫なんでしょうか?

司法書士の先生司法書士の先生

財産状況が変わらない限りは問題ありません。ただし1点だけ注意が必要です。家族信託も成年後見制度(任意後見)も、本人の判断能力があるうちにしか契約できません。「様子を見る」判断そのものは間違いではありませんが、物忘れの症状が進んでいる場合は、悠長に構えすぎず、定期的に状況を見直すタイミングを決めておくことをおすすめします。

家族信託と成年後見制度・遺言の違いを比較する

3つの制度は目的が異なるため、単純に優劣をつけられません。それぞれの特徴を整理します。

家族信託 成年後見制度 遺言
主な目的 認知症後も柔軟に財産管理・承継 判断能力低下後の財産・身上保護 死亡後の財産の分け方を指定
開始のタイミング 契約時から(判断能力があるうち) 判断能力低下後(法定後見)/契約時(任意後見) 死亡後に効力発生
財産の柔軟な運用 可能(信託契約の範囲内) 制限が大きい(家庭裁判所の監督下) 不可(死後のみ)
身上監護(施設入所契約・医療同意など) 対応不可 対応可能 対応不可
数次の承継先指定 可能(孫の代まで等) 不可 一代限り

家族信託だけでは施設入所契約や医療同意などの「身上監護」はカバーできません。財産管理と身上監護の両方が必要な場合は、家族信託と任意後見を組み合わせるケースもあります。

「必要ない」と判断して後悔した事例

家族信託を「必要ない」と判断すること自体は問題ありませんが、判断のタイミングを誤ると選択肢を失うことがあります。

もっとも多い後悔のパターンは、「まだ大丈夫」と先延ばしにしているうちに認知症が進行し、家族信託・任意後見のどちらも契約できなくなってしまうケースです。家族信託は本人の判断能力があることが契約の前提条件であり、認知症の診断が進んだ段階では、公証役場でも契約が認められないことがあります。

そうなると、財産の管理は法定後見制度に頼るしかなくなり、家庭裁判所の監督下で柔軟性の低い管理を強いられることになります。不動産の売却や大きな支出には家庭裁判所の許可が必要になり、家族が思うように動けなくなるケースも少なくありません。

判断に迷ったときの相談先と確認すべきポイント

「必要かどうか」の判断に迷う場合は、次の点を確認しながら専門家に相談してください。

確認すべきポイント
収益不動産や事業用資産があるか
相続人の中に、財産管理を任せにくい事情(浪費癖・疎遠など)がある人がいるか
二次相続以降の承継先まで指定したい希望があるか
本人・家族の年齢や健康状態から見て、判断できる時間的余裕がどれくらいあるか

これらに該当しない場合は、遺言や成年後見制度で十分なケースが多くあります。複数の専門家に相談し、「なぜ家族信託が必要なのか」を具体的に説明してもらった上で判断することをおすすめします。

よくある質問

Q1. 家族信託と遺言は両方作成した方がいいですか?

家族信託の対象にしなかった財産がある場合、その財産は遺言でカバーする必要があります。多くの場合、家族信託と遺言は併用されます。

Q2. 一度「必要ない」と判断したら、後から変更できますか?

はい。状況が変われば、後から家族信託を契約することは可能です。ただし、本人の判断能力があるうちに限られるため、先延ばしにしすぎないよう注意してください。

Q3. 家族信託を組まないと、認知症になったときに口座が凍結されますか?

家族信託を組んでいなくても、必ずしもすぐに口座が凍結されるわけではありません。ただし、金融機関が本人の判断能力に疑いを持った場合、大口の取引や解約に応じてもらえなくなることがあります。

Q4. 成年後見制度だけでは何が不便なのですか?

家庭裁判所の監督下に置かれるため、不動産の売却や大きな金額の支出には許可が必要になり、機動的な財産活用がしにくくなります。また、専門家が後見人に選任された場合、継続的な報酬が発生します。

Q5. 福島県内で家族信託の必要性を相談できますか?

はい。福島県内にも家族信託・成年後見制度の両方に対応できる司法書士・弁護士事務所があります。「必要かどうか」の段階から相談できる事務所を選ぶとよいでしょう。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

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