親亡き後問題 | 福島の弁護士による家族信託相談
以下のような場合、民事信託による対策をご検討ください。
□ 家族に、障がいを持った子どもがおり、自分が認知症になったり、亡くなった後、自分で財産管理をすることができず、生活が心配。
ここで活用できるのが、家族信託(特に「福祉型信託」と呼ばれます)です。
あらかじめ信頼できる親族に財産を託し、自分が認知症になったり、亡くなったりした後、子どもに定期的に財産を引き渡すしくみを作ることで安定した生活を保障することができます。
福祉型信託は、将来親が認知症になったり、亡くなったりした後、親の財産を障がいのある子に確実に渡すため、親が、あらかじめ信頼できる親族に財産を託し、財産管理をしてもらうための契約です。
参考事例
状況
Eさん(85歳)には妻(78歳)と長男と長女がおり、長男は脳に重い障がいを持っています。 Eさんは、主な財産として自宅と収益不動産を持っていますが、現金はそれほどありません。
現在、長男とEさん夫妻が同居しており、長男の面倒はEさん夫妻がみていますが、Eさん夫妻が、長男の生活をみてあげられない状態になった後の長男の生活が心配です。
長男と長女は仲が良く、自分が亡くなった後は長女に長男のことをみてほしいと思っています。
家族信託の設計
Eさんの目的は、Eさん夫妻が、長男の生活をみてあげられない状態になった後の長男の生活を保障することです。
そこで、Eさんの収益不動産を信託し、Eさんを委託者、受託者を長男、第一次受益者をEさん、Eさんが亡くなった後は、第二次受益者をEさんの妻、Eさんの妻が亡くなった後は、第三次受益者を障がいを持った長男に設定します。また、長男の死亡により信託が終了することとし、残った信託財産を長女が受け取るように設定します。そして、Eさんの死後長男がもらうべき遺産に相当する収益不動産を信託財産として長女が預かり、その家賃収入の中から毎月長男へ少しずつ渡すように取り決めをします。
長女が、万一それを怠ってしまうと長男は生活ができないため、長女から長男へお金が渡っているかをチェックするため、信頼できる他の親族や弁護士等専門家が受益者代理人や信託監督人になるよう契約を結ぶこともできます。
家族信託のポイント
遺言で長男に財産を残すことも可能ですが、長男はその後の財産管理ができません。それに対処するには、成年後見人の選任が必要になります。
また、Eさん夫妻が認知症になるなどした場合の生前の財産管理には、遺言は役に立ちません。
一方、家族信託では、受託者を指定することで、生前の財産管理を含め、長期にわたる財産管理を託すことが可能です。
親なき後問題の解決策として今注目をされているのがこの福祉型信託です。
商事信託の一つである特定贈与信託と比べて、収益不動産もスムーズに信託財産にできる、手数料を節約できる、使途の制限がない等の利点があります。